「荷物重いでしょ? あたし、もう少し持てるから遠慮しないで」
「だ、大丈夫だよ……ボクこそまだ余裕あるから……ルヴィの分、わ、渡してよ」

 アッシュとルクが運んでいた三つのザックの内、二つがあたし達に託された。というのもみんながママを奪還し、サリファを倒すことが出来れば、ツパおばちゃんが弓のお師匠様に合図を送り、山頂まで飛行船で迎えにきてもらう手筈になっているというのだ。

 だからみんなは必要最低限の道具と食料だけを持って、再び数日を要してしまうであろうあたし達に全てを渡してくれた。と言っても飛行船から見つけられれば、あたし達も乗せてくれるということだけど。

「ね……そう言えばルクって、何であたしを「ルヴィ」って呼ぶの?」
「え! ──……っとぉ~」

 ルクに「ルヴィ」と声を掛けられて、あたしはふと疑問を口にした。いつの間にか定着したアッシュの「リル」とルクの「ルヴィ」。思えばどうしてそうなったのだろう?

 突然の質問に途端赤面してモジモジと俯くルク。そんなに恥じらう理由が、あたしの呼び名にあるのだろうか??

「は、初めてルヴィに会った時……ルヴィのママがルヴィを「ルヴィ」って呼んで……ボ、ボクは嬉しくなったんだ……」
「嬉しい?」

 どうしてあたしが「ルヴィ」と呼ばれて嬉しいのだろう?