「ジュエルの手助けにより、その時私は自分の名前から、後半の「ノーム」を切り離したのです。その行為により、私の名が「ツパイノーム」であるという真実を知り得る者は、サリファ以外消えました。と同時に、私はサリファの呪縛からも解放されたという訳です」

 名前の一部を捨てて、自由を得たツパおばちゃん。なのに何故だか何かが引っ掛かる気がするのはどうしてなのだろう? 第一今まで何度もヴェルに来ているのに、今回に限ってパパが動き出したことも気にならなくはない。

「ですから」

 あたしが問いを発する前に、ツパおばちゃんの言葉が続いてしまった。

 仕方なくあたしは顔を上げて、ツパおばちゃんの(おもて)を見詰めた。

 あれ? どうしてその真っ赤な瞳は、あたしの方へ向けられているの??

「ですから、リルヴィ。貴女は此処で山を下りてください。そしてルクアルノ、貴方もです」
「「……え!?」」

 耳を疑う台詞と共に、おばちゃんの視線が捉えたのは、ルク。

 「ですから」って……いきなりそんなこと言われても、全く意味が分からないってば!

 ルクとあたしは一緒に驚きの声を上げ、同じタイミングで顔を見合わせてしまった。