「あの……この四人の女の子が、おばちゃんの言う三家系の少女達と「名もなき少女」なの?」
「はい。そして一番若く身体も小さい十四歳の少女、ジュエルが視点を合わせた彼女こそが、名もなき少女(サリファ)だと思っています」
「十四歳……」

 ──あたしと同い年。

 ツパおばちゃんの答えに、あたしの瞳はパチパチと瞬いた。おばちゃんの「思っています」には、かなりの確証があるように聞こえたからだ。

「まだサリファが先代王の妃として王宮に暮らしていた頃、彼女は私の前で悔しそうに呟いたことがあるのです。「わたしが『彼女達』と同じように成人し、もっと身体が大きければ」と」

 年齢も身体も小さかった名も知れぬ少女。確かに今見たヴィジョンとも一致する発言ではあるけれど?

「このヴィジョンの後、少女達は荒れ果てた町へ戻り、ようやくたった一人の生存者を見つけ出しました。懸命な看護の末、数日で彼は意識を取り戻します。その青年こそが……」

 ツパおばちゃんの紅い視線が、再びパパの左眼に注がれる。

 自分の見解に信憑性を感じたあたしが、自信満々「王家のご先祖様だったのでしょ!?」と言いかけた瞬間、

「彼こそが『ラヴェンダー・ジュエル』の原型となる人物でした」
「「「えええっ!?」」」

 もう一回! 余りに突拍子もないおばちゃんの答えに、三人の大声が森の繁みに反響(こだま)した──!!