「おばちゃんっ!? アイガー!! アッシュ、ルク!!」

 あたしは紅蓮(ぐれん)と化す炎の熱を、両腕で()けながら叫んでいた。渦のようにうねる()が、あたしの視界の邪魔をする。三人と一匹はどうなったのだろう? きっと無事よね……? 誰か応えて!!

「おばちゃんっ!? アイガー!! アッシュ、ルク!!」

 今一度叫んでみたが、誰の応答もなかった。あたしが悪いんだ……あたしが傍にいたら、みんなに危害が及ぶことはなかったのに……!

 サリファの赤い光線が、この焚き火の威力を強くしたのだろうか? 立ち昇る光がまるで凝縮するように、周りの空気を歪ませて見せる。火の向こうにみんなはいるのだろうか? ならばどうして返事をしてくれないの!?

「お願い、サリファ……みんなを、ママを返して!!」

 あたしは両手を胸の高さまで差し出して、激しく燃え盛る炎に一歩近付いた。突如あたしを欲しがるように、それは赤い触手を広げ……波のように頭上から覆い被さってきた!!