「ルヴィ……ルヴィ……」
「……ん……。……え! ……ママっ!?」

 うつ伏せになった頭の後ろから聞こえた声に、あたしは咄嗟に身を起こした。呼んだのはきっとママ! ママ……ああ、もうパパが助け出してくれたんだ!!

「ご、ごめん……ルヴィ。ボクだよ……ルクアルノ」
「え? あっ……ごめん! ルク……」

 テントを飛び出そうと力を込めた足が脱力した。そ、だよね……こんな眠っている間に一件落着なんて、都合が良いのにも程がある。

「どうしたの? ルク。もしかしてあたし寝坊しちゃった??」

 狭いテントの中で半回転して、少しばかり顔を覗かせたルクを見上げた。テントの中は元より、ルクの向こうも薄暗がりに見える。空気はツンと澄んで、辺りもまだ寝静まっているみたいだ。

「ううん、ま、まだ夜が明けたところだよ。昨日見つけた清水を沸かしたんだ。アッシュが布を吊るして、そ、その……目隠しを、つ、作ったから……」
「目隠し?」