「リルヴィ。昨日仰いましたね。「私に()何かがあったのか?」と。私にばかり尋ねるのは平等ではありませんよ。貴女もそろそろ白状なさい」
「えっ……あ、い、いやぁ~そんなこと言いましたっけ~??」

 まさかの反撃が始まるとは!

 あたしもお茶を濁すように立ち上がって、炎の向こうへ回り込んだ。速足で追いかけられたので、ぐるりと焚き火に沿って逃げるしか出来なくて……

「白状なさいって、おばちゃんだってまだ何も答えてないじゃない~!」
「訊いた方から答えるべきです。ではリルヴィが答えたなら、私もお教え致しますよ」
「ええ~……そうは言われてもぉ~~~」

 おばちゃんの攻撃にタジタジになりながら、あたしは早歩きでグルグルと逃げ回った。あたしの気持ちはまだ固まっていないのだもの。今誰かに話せる段階じゃない。それにツパおばちゃんに話したら、パパやママにまで伝わってしまいそうだ!

「リルヴィ、お待ちなさい!」
「やだー! 絶対言わない!!」

 いつの間にか逆転したあたし達は、ひたすら炎を回り続けた。この時ばかりは先の不安も何処かへ吹き飛んでいってくれた。

 くるくる・クルクル、めぐる・メグル。

「ル、ヴィ……? ツパおばさん??」

 しばらくして次の見張り役となるルク&アイガーが起き出してきたのに、止まるどころかアイガーまで加わって、何が何やらワケの分からない追いかけっこが延々続いてしまう。

「ル……ヴィ~~~……」
「えー? ウソでしょ! ルクっ!?」

 それを呆然と傍から見ていたルクは、勝手に目を回して倒れちゃった──!?






   ■第四章■ TO THE CHOUCRE (シュクリ山へ)! ──完──