「アッシュ、今度はボクが持つよ」

 ルクはお先に荷を背負い、隣で準備を始めたアッシュに手を差し出した。ザックは三つだから、背負う他に、更にどちらかが前側へ抱えることになる。ココまではアッシュが買って出てくれていたので、ルクはきっとずっと気に掛けていたんだろう。やっぱり……あたしは足手まといなだけなのかな……。

「ああ……じゃ、頼むよ。辛くなったらすぐに言ってくれ。ありがとう、ルク」

 アッシュは少し申し訳なさそうに返事をして、それでも途中で笑顔になった。そう言えば今まで特に考えたこともなかったけれど、この二人ってお互いをどう思っているのかな? やっぱり兄弟みたいな関係なのかしら??

「リルヴィ、とりあえずこの中に小枝を入れてください。急ごしらえですが、これで貴女も背負えるでしょう」
「え? わっ、ツパおばちゃん、ありがとう!」

 あたしは後ろからの声に振り向いて、途端視界を埋め尽くしたモスグリーンに瞳を輝かせた!

 大きな麻袋に縫い込まれた太いロープが二本、立派にリュックサックと言える代物を、ツパおばちゃんが作ってくれていたのだ。

「これなら背負ったままでも枝を入れられそう!」

 早速今まで拾った小枝を収め、ロープの間に腕を通した。中身の重みで上手く口が開いたので、頭の後ろに手を回し、枝を落してみると見事にシュートすることが出来た。

「良かったね、ルヴィ」

 大荷物にサンドされたルクが、自分のことのように眼を細めて笑う。その後ろでアッシュも嬉しそうに見詰めてくれていた。

 みんなと同じに背負っただけで、不思議と「一人前」になれた気がするから単純だ。

 俄然ヤル気をみなぎらせたあたしは、率先して先頭に立った。

 出発進行~!

 早くパパに追いついて、ママを助け出しちゃうのだっ!!

 けれどあたしは……まだまだ自分が「半人前」なことに、気付こうともしていなかった──!?