「二人はそれなりに鍛えている筈ですから、これ位は問題ないと思いますよ。ですからリルヴィは自分のことだけを考えてください。でなければその内にへたばってしまいます」
「え~あたしだって大丈夫だってば! いつもクラブで運動しているもの。ツパおばちゃんこそ、荷物持つわ。その弓だけでも重いでしょ?」

 あたしは隣に並ぶおばちゃんのザックに目を向け、心外とばかりに口を尖らせた。おばちゃんも二人と同じように大きな荷を背負っていて、更に矢を入れた筒を肩掛けし、お腹の前にも小柄な身体には似合わない、たっぷりとしたウエスト・ポーチを巻いているのだ。

「私も大丈夫です。でしたら持てるだけで構いませんので、焚き火に使えそうな小枝を拾いながら登ってください。夜は結構冷えますし、食事を作るのにも必要です」
「うん!」

 ようやく自分にも役に立てることを言いつかって、あたしは元気な返事をした。斜めに上がってゆく森の地面を見渡しながら、落ちた枝を拾っては駆け登る。途中開けた草地で遅い昼食を取った時には、一瞬ピクニックにでも来ているような、変な錯覚を起こしそうになった。

 違う! 違う! ママを助けに向かっているんだから~!!