***
ーヒソヒソ。
「天宮さん、この前隣のクラスの委員長に絡まれたんだって」
「…C組の?中の下じゃん」
「wwそれなww」
ーヒソヒソ。
「あの?例の人?」
「うん。胡桃ちゃん、かわいそー」
「絶対思ってないでしょ…笑」
ーヒソヒソ。
「女好きだけど、女たらしではないヤツでしょ?w」
「そーそー、アイツ、モテないしなww」
ドアの前で息を詰めている胡桃の前で、そんな噂が飛び交っていた。少し遅めに登校してきた俺は、廊下の柱の影からその様子を静かに見つめていた。
ここで俺が出しゃばっても、意味がないと思ったからだ。だが、胡桃が泣きそうな顔で俺の方へ小走りで逃げるように廊下を戻ってきた胡桃が俺の姿に気づいた。
「…千秋」
なんと言えば良いのかわからなかった。なんで胡桃が泣きそうなのかもわからない。それでしばらく無言でいると、胡桃は余計に顔をこわばらせて走っていってしまった。
…ごめん。
おれは、その後ろ姿に心の内で謝ることしか出来なかった。
しばらく呆然とその場所に突っ立っていたのだが、朝礼の10分前を知らせるチャイムにハッとし、教室のドアを開けた。
「おっす」
「おはよー」
「よっ!」
みんながバラバラとしてくれる挨拶に返事をしながら、自分の席に着く。
すると、隣の席の成海が話しかけてきた。
「なあなあ」
「何?」
彼女は胡桃の姉たちの集団にはいない、胡桃と普通に接する数少ない女子の1人だ。
「胡桃、どこいったん?さっきまで教室の前におったやろ?」
なんで知っているのか。そう思ったことを見透かしたのか、成海は言葉を付け足す。
「さっき、教室入るときに見かけてん」
「…あー」
なんと言えば良いのかわからず、言葉を濁していると。
「私に、何か用事??」
と言う声が聞こえてきた。
「…胡桃」
「おはよ、胡桃〜」
「…うん、おはよう。何か用事、ありましたか?」
おどおどと敬語になりながらそう言った胡桃を安心させるように柔らかく微笑んだ成海は、言葉を続けた。
「いや、なんでもないんよ。今日は遅いなぁって、思っただけやから。それより、早よ座ったら?もう始まるで」
「う、うん」
成海のペースに乗せられた胡桃は言われるがまま、自分の席に歩いていった。彼女が座ったと同時に、チャイムの音が鳴り先生が入ってきた。
ーヒソヒソ。
「天宮さん、この前隣のクラスの委員長に絡まれたんだって」
「…C組の?中の下じゃん」
「wwそれなww」
ーヒソヒソ。
「あの?例の人?」
「うん。胡桃ちゃん、かわいそー」
「絶対思ってないでしょ…笑」
ーヒソヒソ。
「女好きだけど、女たらしではないヤツでしょ?w」
「そーそー、アイツ、モテないしなww」
ドアの前で息を詰めている胡桃の前で、そんな噂が飛び交っていた。少し遅めに登校してきた俺は、廊下の柱の影からその様子を静かに見つめていた。
ここで俺が出しゃばっても、意味がないと思ったからだ。だが、胡桃が泣きそうな顔で俺の方へ小走りで逃げるように廊下を戻ってきた胡桃が俺の姿に気づいた。
「…千秋」
なんと言えば良いのかわからなかった。なんで胡桃が泣きそうなのかもわからない。それでしばらく無言でいると、胡桃は余計に顔をこわばらせて走っていってしまった。
…ごめん。
おれは、その後ろ姿に心の内で謝ることしか出来なかった。
しばらく呆然とその場所に突っ立っていたのだが、朝礼の10分前を知らせるチャイムにハッとし、教室のドアを開けた。
「おっす」
「おはよー」
「よっ!」
みんながバラバラとしてくれる挨拶に返事をしながら、自分の席に着く。
すると、隣の席の成海が話しかけてきた。
「なあなあ」
「何?」
彼女は胡桃の姉たちの集団にはいない、胡桃と普通に接する数少ない女子の1人だ。
「胡桃、どこいったん?さっきまで教室の前におったやろ?」
なんで知っているのか。そう思ったことを見透かしたのか、成海は言葉を付け足す。
「さっき、教室入るときに見かけてん」
「…あー」
なんと言えば良いのかわからず、言葉を濁していると。
「私に、何か用事??」
と言う声が聞こえてきた。
「…胡桃」
「おはよ、胡桃〜」
「…うん、おはよう。何か用事、ありましたか?」
おどおどと敬語になりながらそう言った胡桃を安心させるように柔らかく微笑んだ成海は、言葉を続けた。
「いや、なんでもないんよ。今日は遅いなぁって、思っただけやから。それより、早よ座ったら?もう始まるで」
「う、うん」
成海のペースに乗せられた胡桃は言われるがまま、自分の席に歩いていった。彼女が座ったと同時に、チャイムの音が鳴り先生が入ってきた。



