八咫烏《ヤタガラス》



仕方ない。


そう思わせる何かがあいつには昔からあって、きっとそれは妹も同様なんだろう。


あいつの妹なんだから。そう思ってしまった。


あいつの妹なんだから、男に力で勝てるわけないだろうし、助けてやろう。



同じ学校のよしみとして。


同じ女として。


大切だった、あいつの妹として。



あっちは、きっとあたしの存在というか、あたしとのつながりなんて記憶にないだろうし、覚えていてほしいなんて、そんなことも思わない。


というか、あたしとのつながりについての記憶なんて持っていてほしくない。抹消してほしいとすら思っているくらい。


だけど、あたしは彼女を知っているし、きっと彼女もあたしを知っている。


過去のあたしのことは、どうだか知らないけど、今のあたしは知っているはずだ。


だって、いい意味で、あたしはあの学校の有名人だから。


金菱女学院高等部1年。それがあたしと彼女の共通点だ。


同じ高校だからこそ。


今、彼女があたしの存在に気づき、万が一にも、顔を見た時、あたしに見捨てられたとか、良からぬ噂を立てられるのはかなり面倒。


それに、このままレイプや暴行となったらそれこそ後味が悪い。


知らない人だったとしても気分悪いのに、知っている人だからこそ余計に。


ましてや、被害者振られ、あたしを見てた癖に!とか言っていて、加害者として担ぎあげられたら、溜まったんもんじゃない。


まぁ、仮に、顔を見られてあたしが助けたとして、この人に助けられたんです!なんて言われても、確実に面倒な未来が待ち構えていると予測できるんだけど。


あー、やだやだ。ほんと、面倒臭い。