そんな危険地帯をのんきにみたらし団子を食べながら呑気に歩く阿呆が一人。


そう、あたしである。残念ながら、紛れもなく、あたしなのである。


え、危険地帯とわかっているのに、なぜそこを歩いているのかって?


それは、急にみたらし団子が食べたくなったから、つい、コンビニまで買いに行ってしまったのだ。


深夜のスイーツほどの誘惑に勝てるほど、あたしは強くないからね。



え、違う?あ、危険な裏路地をなんで歩いているのかって?


あぁ、呑気に悠々歩いてますもんね、私。危ないんじゃないかって思ってくれたりしてるわけか。


大丈夫大丈夫。どうにかなるし。


そう短絡的・楽観的に考えるのは、最近、身に付いたあたしなりの生きる術。


どうでもいい場面なんて、適当に考えちゃえばいい。



まぁ、こんなこと言っているけど、あたしがこんな危険地帯を歩くのも、適当ながらに考えた理由があってのことで。


一言で言ってしまえば、家までのショートカットできるから、だったりする。


たかが5分。されど5分。


もちろん、危険は承知だし、こんなよくない噂の多い裏路地を通らなくても、家に帰れる。


それに大通りの方が確実に安全だ。


だけど、人は多いし、ホストだかキャッチだか知らないけど、そんな人がホイホイいるから表の道は面倒なのである。


それならチンピラや不良たちの方がだいぶマシだ。関わらなければいいだけなんだから。



それに______


表の道は煌びやかで、あたしに合わない。あたしには眩しすぎる。


だから、少し暗くて危なかろうが、こっちの方があたしにはあっているし、近道なんだから、人通りの少ないこの道を選択したという訳だ。