八咫烏《ヤタガラス》



「あらら、動くと刺すよ?さすがに竹串だとしても、このままだと頸動脈から血が吹き出すことになるけど、大丈夫そ?」


その言葉と共に、当てるだけだった竹串を少し突き刺す。ウッと息を飲む声が聞こえた。


自分の地位や名声に胡座をかくとは、このことだ。第捌席だどうだ、なんて騒いでおいてこの有様。地位は授かって終わりじゃない。地位を授かることは責任を伴うこと。


授かったなら、授かったなりの対価が必要で、そのための鍛錬を欠かしてはいけないと思う。ただの自論だけど。


欠かしてしまえば、そんなの地位に縋り付くだけの抜け殻だと思うから。


「おまえ何者だ?」


不審そうに聞く声は震えていた。そりゃそうか、訳も分からず、気づいたら首に手をかけられているんだから。


それも自分よりひと回りも小柄な女に。


「そっちの質問の前にこちらから」


今にも噛みついてきそうだった先程まで態度とは打って変わって、舌打ち一つでこちらの言葉に従うことを示す。


きっと、さっきの突き刺しが頭のどこかにこびりついているから。


力と圧をかける甲斐があるってもんよ。