「つーわけで、おまえは俺を倒せねぇよ」
有頂天のところ、申し訳ないが、もうキミのことはいいよ、もう十分、わかった。
それでも、倒すよ。
ポツリと呟く。あの男の耳に届いたかどうかは知らない。
それほど小さく、すぐに消え、誰にも気づかれないほどの声量だった。
相手に向き合い、手を出すまでの時間。
昂る気持ちと冷静にいなければと、正反対の感情があたしの中で押し合う。
だけど、そんなのすぐに軍配が上がる。
「じゃ、お先に一発」
あたしはこの昂りを抑えるなんてできないんだから。
言葉と同時に、グッとコンクリートを蹴り、素早く彼の射程に入る。
その時点で、彼はあたしの存在に気づき、目を見開いたけれど、あたしが鳩尾に一発入れるまでに、何か出来る程の時間はない。
避けようとするがそれは間に合うことも無く、きれいに鳩尾に渾身の一撃が入り、少し崩れる体勢。
そこにさらに、軽く足技を掛けて畳み掛ける。
崩れた体勢から、更にバランスを崩させ、背後に回る。
首に腕を回し、こちらはいつでも首絞めができると遠回しに主張する。

