八咫烏《ヤタガラス》



「俺はな、impulseの第捌(8)席だ」


「あ、そうですか」


impulseの中で8番目に強いってことか。まぁ、それなりに人数がいるっぽい中の上から8番。やり甲斐がある相手ってことだ。


「つまり、俺は強い」


はっきりと言い切った言葉に疑問を覚える。


強い…?強いだって?それは無いだろう。


笑わせんな。


自惚れがすぎるでしょ。


やり甲斐があることは確かだけど、強いとは思えない。


あたしは、きっと彼以上に強い人をこれまで何人も見てきた。けれど、みんなそれなりに自分の強さを理解していた。


強者は自分のこと、強者だとは言う人少ないし、言う人は言う人で、そこには強者なりの佇まいがあった。


だけど、彼からはそんな佇まい、感じない。感じられない。


彼が言っている「強い」というのは、ただの自惚れにしか過ぎない。


だって、構えているだけなのに、隙が見えすぎているから。


もしかしたら、ご自慢の第捌席のことを得意げに話していることもあって、隙が倍増しているかもしれない。


が、それにしたって目立ちすぎている。彼の行う全ての動作が隙につながっていると思わせる。


小さな事柄でも、積み重なれば大きな隙へと変貌するんだから。


まぁ、でも、わざとということも考えられるか。


そうして、相手の技量を見誤ったあたしを陥れようと…?


いや、それはあんまり考えられないな。単細胞そうだし。そういうの見通せなさそう。


それなら、まだ、あたしが女だからって完全に舐めきっているという方が可能性は高そうだ。