八咫烏《ヤタガラス》



よし、っと小さく呟く。


こちとら喧嘩なんて数年ぶりの解禁だ。


確実に言えるのは、自分の想像通りに身体が動くかと問われれば、否と答えるしかないってこと。


だからこそ、相手を怒らせて、判断力を鈍らせる作戦を決行しているわけだけど。


少しでも、あたしの土俵に持ち込むため。少しでも、あたしが有利になるため。


比較的線の細いあたしは、1発でも相手のヒットをくらえば、運が悪ければKO。


反対にあたしは1発当てても、きっと響かないだろうし、最初から急所を狙わなくちゃいけない。


体格差がある分、余計に考えを巡らせる必要がある。圧倒的な力に対抗するには、頭を使わなくちゃいけない。


やはり相手の判断力を低下させることが重要なカギになると踏む。


だから今のうちに煽りに煽って、怒りの感情をもろに引き出し、自制心を闘争心へと変換させる。


きっと喧嘩が始まれば、そんなこと考えてる余裕なくなるだろうし、昂る感情を止める術をあたしは知らない。


まぁどうにかなるでしょ。投げやりに考えるのは、昔からのあたしの悪い癖だ。