「僕も一緒にさぼります。」
「はああ!?」
あまりに予想外すぎて理解が追い付かない。
「一人では放っておけません。どっちみち僕は参加しなくてもいい身なので。」
そう言って彼は私の向かいに腰を下ろした。
「でも、あんた怒られるかもよ?」
「別にいいです。それより、何か話しましょうよ。」
この人本気で言ってるの?
私は呆れ半分で向こう側を眺めた。
「なんて呼べばいいですか?」
「何でもいい。てか馴れ馴れしくしないで。」
「あ、すいません。僕のことは何て呼んでくれてもかまいませんよ。」
この人のことを名前で呼ぶ気はない。
「なんで暑いのにこんなところにいるんですか?」
この際無視しようかと思ったがさすがにやめておこう。
「誰にも邪魔されないから。」
「何を?」
「昼寝。」
「えっ?……っぷ、はははは!」
冗談半分でそう言うと、思いっきり笑われた。
「昼寝って…ふははっ…面白いね。優希さん。」
「ウケ狙いで言ったわけじゃないんだけど。」
「ごめんごめん。つい……くくくっははは」
あまりの大爆笑になんだか恥ずかしくなってきた私は、横目で彼のことを見た。
一本一本が細くて柔らかそうな髪が目の上で揺れている。
私の視線に気づいたのか彼もこっちに視線を移す。
目線が絡み合い、離そうと思っても目が彼を捉えて離さない。
滴る汗が妙に色っぽい。
色素の薄い瞳は太陽の光に照らされてきらびやかに光り輝いている。