啓太の父親が、母親の頬を叩いたのだ。

「よく知りもしないで、人様に迷惑を掛けて、自分勝手な事ばかり。仮にもお前は啓太の母親なんだぞ。人として恥ずかしくない生き方をしろ」

「うぁ〜ん」子供のように泣き崩れた。

 翔子は、大人になりきれていないうちに母親になってしまったのだろう……。

「美羽先生、葉加瀬さん、園長先生、この度は大変ご迷惑をお掛け致しました。美羽先生と葉加瀬さんには、マスコミを通じて日本中に知られてしまいました。なんてお詫びを申したら……」

 事の重大さを、啓太の父親は理解しているようだ。

「そうですね。不本意ながら、世間に知られましたが、俺はこれからも堂々と美羽と歩んで行きます。あなたも、すれ違ったままでは啓太くんのためにもよくない。この機会にしっかり解決してください」

「はい」

 啓太の父親は、深く深く頭を下げた。

 きっと、少しはよい方向に進むだろう……。