結局、発売された週刊誌の記事は、美羽が一般人である事から、モザイクが掛けられ全く誰かがわからない写真だった。あとは、匠が認めた事により、記事の価値はなくなってしまっていた。

 騒ぎは一旦収束したと判断したが、今回の事で少しの油断が大事になるのだと学んだ。

 もちろん、今もまだマンションへの出入りも別々にしている。

 そんなある日、美羽が匠のマンションへ入ろうとした所で声を掛けられた。

「美羽先生」

「えっ?」

 保育園ではなく、ここは匠のマンションの前。驚き恐る恐る振り返った。

「せんせいこんばんは〜」「こんばんは」

「こ、こんばんは。啓太くんとお父様……」

「こちらにお住まいですか?」

「いえ。知り合いがこのマンションで」

「そうですか」

「啓太くんのお宅はこちらでしたっけ?」