ただ、若い世代にはなかなか伝わらない。

 でも、ファンではない気がする。

 何もなければいいが、何かあってからでは遅い。用心するに越したことはない。美羽にも窮屈な思いをさせるが、ここ最近は匠のマンションで過ごしている。もちろん別々にマンションを出入りしている徹底ぶり。

 が……。

 この日も匠のマンションで過ごしていた。そこにスマホの着信音が響く。

「もしもし」

「匠、お祖母ちゃんが救急車で運ばれたの」

「え⁉️」匠の驚きの声に、キッチンにいた美羽もかけ寄る。

「階段から足を踏み外して、ケガをしたのよ」

「どこの病院?」

「楠田総合病院よ」

「わかった。俺も今から美羽と向かう」

 電話を切ると心配そうな美羽の顔が目に入る。