沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜

 今度は母が固まっている。

「母さん、美羽が挨拶してるのに無視?聞こえてるだろ?」

「き、き、き」

「はあ?」

「聞こえてるわよ!もう、私の人生で最大の驚きでキャパオーバーなの。将棋オタクで女の子と話をしてるのすら、幼稚園以降記憶にないのに。彼女⁉️しかも、こんなに可愛い⁉️何⁉️何が起きたの?夢?」

「何バカな事言ってるんだ?」

「美羽さんって言ったわね。匠の母の志乃です。本当にうちの息子と付き合ってくれてるの?間違いじゃないわよね」

「は、はい」

「ありがとう」

 美羽の両手を握り涙ぐみながら、なぜかお礼を言われる。

「私なんかでいいのか……」

「美羽さん。美羽ちゃんでいいかしら?」

「はい」

「美羽ちゃん匠を捨てないで〜」

「はい⁉️」