沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜

「そうなの⁉️」

「プッ。本当に知らないんだ。アハハッ」

「私、失礼だよね」

「そんなことないよ。プリンスなんて本当は俺の柄じゃないんだ。ただの将棋オタクなだけなんだ。本当は目立ちたくはないんだけど、記録を更新して取り上げてもらってる。どちらかと言えば地味なイメージの将棋界だけど、ここまで盛り上がってもらえる事は有り難い」

「匠の貢献度は高いんだね」

「その分、先日みたいな大失敗の対局だと、大恥をかく」

「完璧な人間なんていないんだから、気にすることないんじゃない?」

「ああ、もう恥はかきたくない」

「私には、将棋の事は全くわからないけど、どんな匠でも私は応援してる」

「美羽……」

 自分では吹っ切ったつもりでも、ずっと燻っていた(わだかま)りが、美羽の何気ない一言で解放された。