沈黙の戦い〜凛々しい棋士のギャップ〜

 匠の言葉に、買い置きしている化粧品も持って行く事にした。まだ付き合った実感すらなかったが、この週末で何かが変わる予感がする。

 持ち運びしやすいように、小さめのスーツケースに荷物を入れた。

「お待たせしました。用意が出来たよ」

「じゃあ行こうか。俺が荷物持つから、戸締まり忘れないように」

「うん。ありがとう」

 匠がスーツケースを引き、反対の手で美羽の手を握る。そして、匠のマンションへ向うのだった。

 公園の横を通り、保育園とは反対に進むこと数分。新しいマンションが建ち並ぶエリアに入った。このまま進むと駅まで10分程の好立地で、この辺りのマンションは高価格だがあっという間に売り切れた人気エリアだ。