「美羽の家に荷物を取りに行って、今週末は俺のマンションに来ないか?俺のプライベートも知ってほしい」

「いいの?」

「もちろん。ただ今まで、将棋一筋で気の利いた事も出来ないし、一人暮らしも必要最低限の事しかできないから、おもてなしは出来ないけど……」

「一人暮らししているだけで立派だよ」

「美羽、自転車押すのを変わるからかして」

 さっと変わり歩き出す。

「俺、免許もまだ持ってなくて。車で迎えに来るなんてカッコイイ事も出来ない」

「歩きで十分だよ。話をしながら歩くの楽しいよ。私も持ってないから教習所一緒に通う?」

「楽しそうだな」

「あっ、でも匠が教習所に通ったら目立つね」

「俺は気にならないけど」

「普段から、視線感じない?」