美羽が荷物を持って自転車を押して戻ると、門に少し凭れスマホを操作している匠が目に入る。今日は、和装ではなくスウェットでもなく、オシャレな装い。大学生ではなく、大人の男の雰囲気を感じる。

 プリンスだと言われ納得する。

 出逢いが雨に濡れ、落ち込んでいたからか、改めて普段の姿を見ると、容姿も内面から溢れるオーラも間違いなくプリンスだ。

 そんなプリンスと言われる匠が、自分の彼氏だなんて信じられない。陽菜以上に、美羽自身が驚いている。

 眺めていると視線に気づいた匠が顔を上げた。

「美羽、そんなところで止まってどうしたの?」

「えっ、あの」

「ん?」

 甘い表情に思わず美羽は赤面する。間違いなくプリンスだ。園児でさえ魅了する匠。相手が自分で本当に世間は納得してくれるのだろうか……。