「あれ?匠着替えてる??」

「ああ。それが、俺のマンションここから5分くらいの所だったんだ。昨日暗かったし気づかなかったけど、無意識に自分の家の近くまで帰って来てたみたいだ」

「そうなんだ」

「濡れた着物も気になったし家に帰ったけど、美羽にちゃんとお礼を言いたかったから戻ってきたんだ。いつ帰ってくるかわからなかったから、勝手に入らせてもらった」

「着物は大丈夫だった?」

「ああ。いつも手入れしてもらってる所に預けて来たよ」

「そっか」

「美羽の保育園はここから近いの?」

「うん。自転車で10分掛からないよ」

「商店街の方?」

「そうそう。ここからだと商店街を抜けた先にある星空保育園って知ってる?」

「名前まではわからないなぁ」

 匠が何気ない会話の中で美羽の保育園の場所を聞き出しているのだが、美羽は全く気づいていない。