匠の両親は共働きで、父方の祖父母と同居していたため、小さい頃から祖父と行動する事が多かった。

 祖父は長年市役所で勤めていたが、退職後は将棋好きの仲間と、小さい子供から老人まで、将棋好きが気軽に通える将棋教室を始めた。

 そこに、小さい頃から連れて行かれていた匠は、元々のセンスもあり他の子供達とは比べものにならない実力を発揮する。

 そして、匠が中学に上がった年に最年少でプロ入りを果たし、本人の意志とは関係なくマスコミ各社に大騒ぎされてしまった……。

 最年少記録が何十年振りかで塗り替えられた事も大きいが、何よりも話題にされたのが匠の容姿があまりにも整っていたからなのだ。

 当時はまだ14歳になったばかりだったが、落ち着きのある佇まい、まだまだ伸びている身長はこの時点で175cmを越しており、幼さは残るが整った顔立ちは棋士というよりはアイドルグループのメンバーと言われた方が納得できる。

 そう、本人の意志とは関係なく目立ってしまうのだ。