扉を開けた途端、いい匂いがした。一気に空腹を感じる。そして、匠の素直な身体から音が鳴った。

 『グゥ〜』

 キッチンにいた美羽にも聞こえた。そして扉の方へ振り返る。


 初対面の瞬間だ。


 匠は振り返った美羽を見て、声だけじゃなく見た目も天使だと思った。

 美羽は振り返って驚く。そこには、長身の王子がいた。服装は弟の黒のスウェットが若干短めでダサイはずなのだが、手足の長さを強調している。年齢は美羽より歳下に見えるが、凛々しく整った容姿が、眩しく感じる。

 『ポカン』と魅入ってしまう。

「あの〜、ご迷惑をお掛けしました。親切にしていただきありがとうございます」

「あっ、体調はどうですか?病院に行かなくて大丈夫でしたか?」

「はい」

「良かった」