憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~

鏡子さんが一生懸命思いを込めた手紙に、ご両親は堪えきれずに泣いていた。


その様子に、会場は微笑ましく優しい空気に包まれ、みんなが温かい気持ちになった。


さあ、いよいよ次は薫ちゃんの番だ。


鏡子さんよりもガチガチじゃない?


一生に一度のことだし、みんなの前で親に手紙を読むなんて、緊張するのはわかるけど…


本当ドキドキするよ、薫ちゃん、お願いだから頑張って。


大丈夫、大丈夫だから。


祈るような気持ちだったけど、薫ちゃんも大きく深呼吸してから、覚悟を決めてその手紙の文字をゆっくりと言葉にしていった。


『…母さん。本当に今までありがとう。父さんが亡くなった時、抜け殻みたいに沈んでいたあなたを見るのがすごくつらかった』


薫ちゃんは込み上げてくる熱いものをグッと堪えた。


私も…


あの頃のことを思うとすごく切なくなる。


ゆっくりと深呼吸して、そしてまた続けた。