憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~

思わぬ形で私は千隼先生と2人きりになった。


『ごめん、呼び止めたりして』


『あっ、いえ。2人とは帰る方向が違うんです。どっちにしてもここでお別れだったんで』


『そうなんだ。職場、この近くなのか?』


『はい、結構近くです。私は実家に帰るんですけど、2人とは駅が違ってて』


『懐かしいな。晶子おばさんや薫君は元気?』


ちゃんと覚えてくれてるんだ…


何だか嬉しい。


『はい。すごく元気にしてます。ちなみに薫ちゃんはもうすぐ結婚します』


薫ちゃんというのは私の4つ年上の兄だ。


『本当に?それは良かった。薫君にもお世話になったからね』


『すごく懐かしいです。まさか…先生に会えるなんて思ってもみませんでした』


本当に…


まだ信じられない気持ち。


夢じゃないかと疑りたくなる。


『…僕もだ。10年…だな。それぞれお互いの人生を過ごして、今またこうして出会うなんて…』


先生の瞳、少しだけ潤んでて綺麗。