嬉しそうなお母さん、でもちょっとデレッとしてない?


こんな顔は初めて見たかも。


うん、でもわかる。


お母さんだって女性だし、ここまでのイケメンは周りにはいないもん、そりゃドキドキするよね。


そう考えたら、千隼先生の魅力は子どもから大人まで幅広い世代に受け入れられるんだろうな。


『ありがとうございます。あの頃は本当に優木様には大変お世話になりました』


『あらまあ、優木様だなんて、そんなよそよそしい呼び方はやめてちょうだい。昔みたいに晶子おばさんって呼んで欲しいわ』


『俺も薫でいいから』


本気で悲しそうな顔をするお母さんに、千隼先生は微笑みながら、


『分かりました。では…晶子おばさん、薫君』


って言ってくれた。


『嬉しいわ。もう10年経つのに、何だかあの頃に戻った気がするわね。ちょっとは気持ちも若返えりそうだわ』