憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~

晴月 千隼。


その名前を忘れたことは1度も無かった。


二度と会えないと思ってたのに、一生憧れのままで終わるはずだったのに…


この胸のざわざわする感じはいったい何なの?


私は同じ店の中にいる先生を意識しながら、それでも平静をよそおい、みんなと1時間程話した。


そして、店を出たその瞬間、


『里桜ちゃん』


千隼先生の声がすぐ後ろで聞こえた。


パッと振り返り、目の前にあったのは男性の胸の辺り。


そこからゆっくり首を持ち上げると、何とも言えない綺麗な顔が視野に入った。


ち、近っ。


私はすぐに数歩下がった。


『あ、すみません』


『ごめん、少しいいか?』


『えっ』


『あ、あの、俺達先に帰りますんで。美穂先輩、行きましょうか。じゃあ里桜また明日』


恭介君、気を利かせてくれた?


私があんまりドキマギしてるから…


『えっ、ちょっと待ってよ!恭介君』


さっさと立ち去ろうとした恭介君に着いて行こうと、早歩きになる美穂先輩。