『矢野様の挙式だけど、かなりの肩書きの方が来られるからキチンと打ち合わせ通りに頼む。細かな最終確認、優木、頼んだぞ』


『はい。わかりました』


ブライダル部門の専門家達が集まって、結婚式の最終確認。


みんな会議室から出て行ったあと、美穂先輩が声をかけてきた。


『ねえ?里桜ちゃん』


ちょっとだけ怖い顔で私を見た。


『はい、美穂先輩。何かありましたか?』


『2日後のお花大丈夫なの?』


『え?大丈夫なの?って…』


そこに恭介も来て、


『何か揉めてる?』


『どうなの、里桜ちゃん。矢野様のご指定のお花よ。ちゃんと注文しといてって頼んだよね?』


美穂先輩は少し口調を荒らげた。


『え…?いえ、あの時確か…私、矢野様のお好きな花をピックアップして、美穂先輩に注文をお願いしました』


そうだったよね、間違ってないよね。


記憶を辿ってみても確実に頼んだ覚えがある。


『ちょっと待って!私、聞いてないよ』