『香山さん、今日はありがとうございます。梓沙のために素敵なブーケを作ってくれて。彼女、すごく喜んでました』


香山 美穂さん。


うちのホテルのブライダル部門には必要な人材だ。


『晴月部長…本当ですか?』


『ええ。梓沙の好きな花で可愛らしく作ってくれたって、ものすごく気に入ってました。ブーケトスも今回はしませんでしたから、ずっと大事に持っていました』


色とりどり花のブーケは、梓沙にとても似合っていた。


やはりこの人にはフラワーコーディネートとしての才能がある。


『…そうだったんですね。何だか…嬉しいです。そんなに気に入ってもらえたなんて』


香山さんは、目を閉じて小さくうなづいた。


思慮を巡らせているように見える。


『これからもその素晴らしい才能を発揮してホテルのために頑張ってもらえますか?』


香山さんは、少し間を空けてからゆっくりと口を開いた。