憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました～ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる～

『こちらこそありがとうね、里桜ちゃん。主人もあなたのお父様には大変お世話になったわ』


『ああ、どれだけ恩を感じても足りないくらいだ。君のお父さんがいなければ今、私はここにいないんだ。命の恩人なんだよ』


『父が命の恩人だなんて…いったい何があったんでしょうか？』


勇気を出して聞いてみた。


お父さんのことがどうしても知りたくて。


『本当に昔、私は近くにいた飲酒と喫煙をする若者をとがめてしまったことがあってね、逆ギレした1人がナイフを出して襲いかかってきたんだ。その若者を彼が止めてくれてね。自分は手にかなり怪我をして、私はかすり傷1つ負わずに助かった。武術の経験が少しあったらしいけど、1歩間違えたら死の危険もあった。彼は私を…命懸けで救ってくれたんだよ』


『そんなことが…』


危険をかえりみず、そんな風に誰かを守れるなんて、すごいって思った。