翌日、アリスの頭には激痛が響いた。
その激しい頭痛で目を覚ます。

嫌な目覚めだ。


「いったぁーーーーーい・・・。」


きっと昨晩、無理矢理に飲まされた酒のせいだろう。

するとそこにドタバタと駆け寄る足音。
きっとハニーに違いないと思った。


「アリス嬢!直ぐに仕度を整えて下さい!」


アリスは頭痛でそれどころではない。

けたたましく開けられたドア、そして頭にキンキンと響くハニーの声。
全てに苛立ちを感じる。


「ハニー、私今それどころじゃないの・・・。
もう頭が痛くて痛くって・・・。」


すると何かを言いかけたハニーを突き飛ばし、ザックがドカドカと中に入って来た。


「お譲ちゃん、すぐにでも城に行くぞ。計画の実行が早まった。」


計画実行の日は一週間後、この国の双子の姫君の聖誕祭に行うと聞いていた。
それが何故今日に変更になったのか。

アリスは痛む頭に手を当てながら立ち上がる。


「どういうこと?だって一週間後って言ってたじゃない。」


そこにすかさずハニーが口を出した。


「聖誕祭の開催日が早まったのです。
おそらく一国の姫君を危険から守る為、詳しい日程は公表していなかったのでしょう。」


「そういう訳だ。お前はすぐにでもこれに着替えろ。」


そう言ってザックが投げ渡したのは黒と白のメイド服。


「お前はそれを着て城内の式典会場に忍び込む。
それでリル・イニーネをおびき出したら任務完了だ。」


慌しい中、アリスは兎に角急いで着替えを済ませることにした。