「──それでは、これより体育祭を開催いたします」
実行委員の挨拶とともにわぁっと盛り上がるグラウンド。
天気は晴れ。絶好の体育祭日和。
「始まったね、体育祭!」
観客席に移動した後、隣に座る梢に話しかけると、梢は「そうだねー……」と何だかテンションが低め。
「はぁ……日焼けしたくない……」
「何を今さら……」
体育祭が始まるまでのこの数日で、グラウンドで何度予行練習をしたと思ってるの。
「梢は肌が白すぎるよ。少しは焼けたほうがいいんじゃない?」
「日焼けするとヒリヒリして痛くなるでしょ。それが嫌なの。だからほら、」
椅子にかけていたトートバッグから取り出したのは、なんと日傘で。