「……瑛士、もしかしてケンカ売ってる?」
「いや、全然」
ちらり、いまだ掴まれたままの自分の腕を見た。
「っじゃあ!腕!離さないのなんで!!」
さっきは少しずつ力も緩んでたのに!
どうしてまた強く掴んでるのよ!
せっかく八千代くんを見つけたのに!
「早くしないと八千代くんが行っちゃう!
八千代くんの顔が早く見たいのよ!私は!」
「……かお?」
そうだよ!
「八千代くんの横顔とか、笑った顔見るのが好きなの!さっきも言ったでしょ!」
「っは?え、なに……さっきの"好き"って……」
「なに!八千代くんのファンですけど何かっ!」
「……」
その瞬間、盛大なため息とともにスラリと瑛士が手を離した。
「まぎらわしい。」って、小さく呟く瑛士。
掴まれていた腕をさする私。
はぁ、これで八千代くんのところに行ける。
て、いうか。
あのさ、瑛士。

