八千代くんのものになるまで、15秒



「……瑛士、もしかしてケンカ売ってる?」
「いや、全然」




ちらり、いまだ掴まれたままの自分の腕を見た。




「っじゃあ!腕!離さないのなんで!!」




さっきは少しずつ力も緩んでたのに!
どうしてまた強く掴んでるのよ!


せっかく八千代くんを見つけたのに!




「早くしないと八千代くんが行っちゃう!
八千代くんの顔が早く見たいのよ!私は!」

「……かお?」




そうだよ!




「八千代くんの横顔とか、笑った顔見るのが好きなの!さっきも言ったでしょ!」

「っは?え、なに……さっきの"好き"って……」

「なに!八千代くんのファンですけど何かっ!」

「……」




その瞬間、盛大なため息とともにスラリと瑛士が手を離した。




「まぎらわしい。」って、小さく呟く瑛士。
掴まれていた腕をさする私。


はぁ、これで八千代くんのところに行ける。

て、いうか。
あのさ、瑛士。