一階まで降りると、軽音楽部の演奏が体育館からしっかりと聞こえてきた。
この曲知ってる。街中でもよく流れてるバラード。
他の生徒も体育館へと集まっているのか、どこのクラスも無人で、
校内はカラフルなのに誰もいないからなんだかちぐはぐして見える。
その時、廊下の向こう側から見知った人が歩いて来るのが見えた。
「──瑛士?なにしてるの」
私に気付いた幼なじみは、「よう」と呑気に片手をあげて挨拶をする。
「軽音楽部の演奏、観なくていいの?」
たしか、友達が出るって前に言ってなかったっけ?
去年も楽しそうにはしゃいでたのに。
「あー……まぁ、ちょっと野暮用」
「なにそれ。てかなんでジュース?」