「──あの、梓希くん、」 「なに」 「……だれもいない家で、さすがにこれはまずいんじゃ……?」 「んー……どうだろう。でもどっちにしろ、蓮が悪いよね?」 扇風機の回る音、グラスの氷が崩れる音。 冷たいフローリング、梓希くんの柔らかい匂い。 私の上に覆いかぶさっている梓希くんが、ゆるり妖しく笑う。 『梓希くん、図書館で一緒に課題やらない?』 こんなことになるのなら、あんなこと最初から言わなきゃよかった……。