「あー……なんだっけ?八千代にキスばっかされてるんだっけ?」
「苗字で呼ぶとね!声大きいよ梢」
「あんたのが大きいよ」
あの余裕のある梓希くんの表情をなんとか崩したい。
だから……
ガラッと、その瞬間後ろの扉から入ってきた梓希くんをキッと睨む。
「あ、八千代おかえりー。先生のパシリご苦労様ー」
「パシリって……手伝いしてただけね」
「準備室まで行ったんでしょ?授業で使った資料やらなんやら持ってさー」
梢の言葉に困ったように笑う梓希くん。
それから私の方を見て、不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?」って、顔を覗き込んでくる。
「梓希くんはさ……私が"八千代くん"って呼ぶと問答無用でキスしてくるでしょ……」

