クリームソーダご馳走様でした、と、帰り際に仁さんに言うと、
『おー。梓希に変なことされたらすぐ言えよ』と、冗談か本気かも分からないトーンで返された。



「あの、ありがとう。八千代くん」



駅へと向かう道の途中で、隣にいる八千代くんにそう言うと可笑しそうに笑われた。



「結局お金出してくれたのは仁だし、俺は何もしてないよ」
「ううん、そうじゃなくて……」



そうじゃなくて。


『好きだと思ったから告白しただけだよ』
『俺にとっては、倉木がそーいう人なんだよね』


私、八千代くんの言葉が聞けて嬉しかったの。



「……私のこと、好きになってくれてありがとう」



そう言うと、八千代くんは驚いたように立ち止まって、それから"仕方ないな"という風に笑った。