「別に、倉木の言うこと聞かなくてもいーんだけど……」
「う、」

「絶対、泣きそうな顔するだろうから」
「……」

「そんな顔、倉木にさせたくないしね」



ね、ねぇ、それって、



「それって、どういう気持ちで言ってるの?」



絡まった指を解いて、八千代くんは意地悪く笑った。




「倉木こそ。どーいう気持ちで"困る"なんて言ったの」

「っ、」




あぁ。

今日も今日とて、私は八千代くんに翻弄されている。