「うん、ちょっと怖い」
私がそう言うと彼女は何故か嬉しそうに笑う。
「そうでしょ!そうでしょ!やぁー今まで怖がる素振りがなくて逆にこっちが内心ビクビクよ」
本当に嬉しいのか声のトーンが先程より上がっている。
本当になんで嬉しそうなんだろう。
「けど、」
「けど?」
「君が居るからそんなに怖くない」
「…… あ~、うん…… まぁ、あなたならそう答えるとは思ってたけど」
「もうちょい怖がってくれないかな?」
困ったように彼女が笑う。
…… 無理だ。
私は率直にそう思った。
彼女が居る限り私は何を見ても聞いても怖くないんだと思う。
だって私が一番怖いのは ――



