私の謝罪に、千早くんはきょとんとした顔になった。

 そしてさも不思議そうな表情で、こう尋ねる。

「え? 何が」

「だってやっぱり、千早くんは私のせいでジェットコースターに乗れなかったから……」

「はは、だからいいんだって。俺は亜澄と一緒にいる方が楽しいんだから」

「で、でも。私が乗れた方が楽しかったでしょ?」

 千早くんは私に気を使って、そんな優しいことを言ってくれているんだ。

 そう思い込んでしまった私は、不安でそう食い下がってしまった。

 ――しかし。

「いや? むしろ、こっちの方が好都合だったよ。亜澄ナイス!とすら思ったわ」

「え……?」

 好都合?

それ、どういう意味?

 意味が分からなくて、目をぱちくりさせてしまう私。

「だって元々、どうせなら亜澄とふたりっきりで行きたいって俺言ってたじゃん。だからこうして自然とふたりになれる状況を作ってくれて、よっしゃっ!って内心すげー喜んでたんだよ。俺にとってはジェットコースターより、断然こっちの方がおいしいの」

 白い歯を見せて、してやったりという不敵な笑みを浮かべて千早くんは言う。