「わーきれいな景色!」

「すげー高いな~」

 観覧車の窓から見える景色は、二駅先の私たちの家の方や、学校の辺りなんかも見えて、想像以上に壮大だった。

 天気がとてもいいせいか、空に浮かんだ白い雲がとても映えて、遠くの青々とした海がきらきらと輝いてるように見える。

 もちろん外の景色は見ていて飽きないし、千早くんと「あっちに学校が見える!」なんて言い合うのは、楽しい。

 ――だけど、それよりも。

 ち、千早くんと狭い密室でふたりきりだ。

 しかも思った以上に観覧車のゴンドラが狭くて、向かいの席に座っている千早くんの膝と私の膝が何かの拍子に触れ合ってしまうんだ。

 こ、こんなの外の景色を楽しむよりも、千早くんの存在の方が気になってしまうよ。

 「すごいね、高いね」だなんて一応言う私だったけれど。

 実はそんな頭の中は、眼前の千早くんのことでいっぱいだったんだ。

「あ。例のジェットコースタ―だ」

 観覧車の横に、さっき桜子と涼介くんが乗ろうとしていたジェットコースターのレールが見えた。