「いやー、だって亜澄ジェットコースターの話になってからめっちゃ青ざめた顔してんだもん。それなのに乗りたくないって言ってこないから、あー、みんなに気を使って言い出せないんだなーって思ってさ」

「え……」

 私、何も言ってないのに。

 私の表情だけで、そんなことまで分かっちゃったの?

「まー、ひとりだけ乗れないって状況だと言いづらいよな。でもふたりならこうして二手に分かれて楽しめるじゃん?」

「そ、それはそうかもしれないけど。千早くんは、絶叫系楽しめる人なんでしょ?」

 私に合わせるために、千早くんが自分の楽しみを犠牲にしたと思うと、すごく申し訳なかった。

 だけと千早くんは、軽く笑ってこう答える。

「あはは、いいんだって別に。絶叫系も楽しいけど、俺は亜澄と一緒にいる方が楽しいんだから」

 またドキドキさせるようなことを、千早くんは躊躇する様子もなく言ってくる。

 ありがとうとか嬉しいとか、そういう気持ちももちろん強く抱いたけれど。

 あまりに心臓の鼓動する音が大きすぎて、隣にいる千早くんに聞こえちゃわないかって不安の方が大きかった。

「あ、ありがとう、千早くん」