聞き覚えのある女の子の声が、車両ドアの近くから聞こえてきた。

 見ると桜子で、私と千早くんが座る席の近くまで駆け寄ってきた。

「同じ電車だったんだね!」

「う、うん。そうだったんだね」

「あっ、あなたが千早くん? 初めまして! 私、亜澄の親友の桜子でーす」

 コミュ力抜群の桜子は、人懐っこい笑みを浮かべて千早くんにそう自己紹介する。

「初めまして~。桜子ちゃんのこと、亜澄から聞いてたよ。今日はお誘いありがとね」

 何事にも物怖じしない印象の千早くんも、私の想像通りいつもの調子でそう挨拶した。

「いーえ! 今日は四人で楽しも! ねっ、亜澄!」

「う、うん……」

 もちろん私もそのつもりだった。

 数分前までは。

 だけどジェットコースターに自分が乗れないことに気づいてしまってからは、気が気じゃない。

 ど、どうしよう。

乗らないって言ったら、みんなをつまらない気分にさせちゃう

 頑張って乗るしかない……よね。

「……千早くんすっごくイケメンじゃん! まさか『セン』くんがここまでかっこいい人だったなんてっ」