そして駆け寄ってきた千早くんは、私の全身を眺めるなり小さく笑ってこう言った。

「私服、すっげーかわいい。似合ってる」

「えっ……!」

 微笑みながらの「すっっげーかわいい」は、さすがに容赦が無さ過ぎるよ、千早くん。

 私の顔は一瞬で真っ赤に染まってしまう。

「いやー、マジ。亜澄の私服姿を見られただけで今日は満足だわ」

 そんな私の動揺なんてやっぱり千早くんはお構いなしで。

 さらに私の心臓をドキドキさせるようなことを、いともたやすく言ってしまう。

 でも、もっとおしゃれな服用意すればよかったって思っていたけど……。

 千早くんがそう言ってくれたんなら、よかった。

「千早くんもおしゃれで……か、かっこいいね」

 緊張しながらもなんとか誉め言葉を返す私。

 やっぱり千早くんみたいに、スマートには言えない。

 ――だけど。

「マジ? やったー、さんきゅー」

 嬉しそうな声だったものの、いつもと変わらないテンションで千早くんは答える。

 やっぱりこれだけかっこいいと、言われ慣れているのかなあ。