千早くんは、容赦が無い

「うん、楽しそうじゃん。……まあ、友達と一緒ってのもわいわいできていいけど。俺は亜澄とふたりでもよかったなー」

 また、ドキッとすることを不意に放ってくる千早くん。

 油断していた私は、また慌ててしまう。

「えっ、ふ、ふたり?」

「だってその方がアピールしやすいじゃん」

 私の顔を覗き込んで、ニヤっと千早くんは笑う。

「ア、アピールって……」

「うん。だから俺がどれだけ亜澄を好きかっていうアピール」

 面と向かってまた「好き」って言われてしまって、さすがに私は顔を真っ赤にしてしまった。

「えっ、あ、あのっ」

 うまく言葉が出て来ず、たどたどしく意味のない声を上げてしまう。

「はは、亜澄ってすぐ照れんのな。そういうとこ、かわいいわ」

 あの、千早くん。

 私のヒットポイントはとっくにゼロなので。

 そこでまた「かわいい」とかさ。

 容赦なくとどめを刺すようなこと、言わないで欲しいです……!

 その後、ちょうど別れ道になったので私は千早くんとバイバイした。

 私が顔を真っ赤にしたままだったので、千早くんはおかしそうに笑いながら「じゃーな」と去っていった。