すると桜子はつまらそうな顔をした。

「それだけー? 結局亜澄は千早くんが好きなの?」

「えっ。別にまだ、そんな感じじゃなくて……」

「じゃあ、これから好きになる可能性はある?」

「そ、そんなのわからないよ」

 そう答えると、桜子は「うーん」と小さく唸った後、こう提案してきた。

「これは一度、ふたりの様子を直接見ないとね!」

「えっ、どういうこと……?」

 桜子の言葉の意味の分からない私は、首を傾げて尋ねる。

「グループデートしようよ! 私と涼介、亜澄と千早くんの四人で!」

「グ、グループデート?」

 桜子の突然の思い付きに、私は戸惑ってしまう。

 だけど桜子は意気揚々とこう続けた。

「そう! それなら自然とふたりの様子が私も見られるじゃん? どこかに出かければ千早くんの違った一面を亜澄も知れるだろうし。一緒に帰っているだけじゃ分からないことも、きっとわかると思うよ!」

「違った一面かあ……」

 デートという響きには、気後れしてしまった私だけど。

 確かに桜子の言う通り、学校では見られない千早くんを見ることができるかもしれない。